筆者未詳 李性源肖像
  • 年代

    朝鮮

  • 材料

  • 番号

    本館 10120

  李性源(1725~1790)は朝鮮後期の文臣で、右議政と左議政を務めた。1789年に冬至兼謝恩使として清に派遣されたが、帰国後に息を引き取った。本図は中年の肖像で、彼が慶尚道・平安道観察使を務めた50代頃に描かれたものと考えられる。
 徳行ある穏和な印象を漂わす顔には、赤い点で額と顎、鼻にあばたの跡が描かれている。また、白黒の髭は1本も省略せず細かく描かれ、両方の大きさが違う目まで写実的に表現され、まさに感嘆させる表現である。このように、李性源の顔は厳格な写実性を基にしている。さらに、目・鼻・口、肌、髭などを実物に近い姿で描き出した点は、他のどの国の肖像画にも見られない朝鮮時代肖像画の神髄を表している。
 李性源肖像は、朝鮮時代のソンビ(学識と立派な人格を備えた知識人)が追求した精神世界と風流な感覚を表し、他国では見られない韓国人の飾らない自然で素朴な顔と真実の心を読み取ることができる。