全羅道茂長県図
  • 年代

    朝鮮

  • 材料

  • 寸法

    図112×154

  • 番号

    本館 10051

  禅雲寺がある全羅道茂長県を精巧に描いた地図で、邑城内の官衙の様子が詳細である。周辺の山、河川、海、各マウル(村)の様子が精巧に描かれている。地図の余白には四方の境界までの距離、民家の数、田畑などの資料が記されている。邑城の南門の前と邑城内側には市もみられる。
  西海岸の心元竹島には箭竹封山が描かれているが、竹だけを別に管理した封山(国家で木の伐採を禁止した山)があったことがわかる。特に、魚を捕まえる伝統的な道具が描かれていることは他の地図ではなかなか見られないものである。
  禅雲山には禅雲寺が描かれている。禅雲寺は金山寺とともに曹渓宗の全羅北道内2大本寺で韓国の名僧古刹として有名である。この寺は577年(百済威徳王24年)に黔丹禅師と新羅の国師である義雲国師が建てたと伝えられる。禅雲寺は一時、89の庵、24の窟、189の建物を備えた大寺刹として、仏教を抑制し儒教を崇拝する政策を掲げた朝鮮時代にも成宗の御室があるほど栄え、太宗代の寺刹閉鎖令にも国家の平和と国民の安定を祈願するために保存された寺であった。