鄭歚(1676~1759)筆 山水図
  • 年代

    朝鮮

  • 材料

    糸織 - 絹

  • 寸法

    179.7x97.3

  • 番号

    本館 3774

 鄭歚は趙栄祐との篤い交わりの中で山水と人物で互いに双璧をなし、山水と人物はもちろん、鳥獣、花鳥図など、多様な素材にも長けていた。特に、南宗画風をもとに朝鮮の山河を描いた真景山水の典型を確立し、朝鮮後期の画壇に新たな場を開いた。以後、彼の画風に倣った一群の画家は“鄭歚派”と呼ばれる。
 この山水図は姜世晃の評によると、鄭歚の中年に描かれたもので、伝統画風とともに彼の個性的な筆致が込められた、優れた作品であるという。
 前方には森に包まれた楼閣と岩、流れる小川があり、斜めに傾いた山とそびえ立つ峰が描かれている。遠く後方には広い野原と低い山々が広がっている。このように画面をぎっしりと埋めた構図は中国の伝統山水画の様式に従ったものである。四季による景色の表現は、南宗画風と朝鮮中期に流行した浙派風(明代における浙江地方の様式の影響を受けた画家の画風)、そして鄭歚特有の筆致が融合している。