青磁多口瓶
  • 年代

  • 出土地点

    新安郡

  • 材料

    陶磁器 - 青磁

  • 寸法

    高11.4、口径4.2、底径6.9

  • 番号

    新安 1948

中央の口縁に、五つの円筒形の小口が付く独特な形の瓶である。中央の口縁周りには、三角形で外向きに垂れており、頸は短い方である。
円筒形の小口は、肩から胴に至る部分まで同じ間隔で配置されている。胴には蓮華文が刻まれており、その下端には丸形の低い高台が続く。
釉薬は龍泉窯の青磁釉系統で、光沢の明るい緑色を帯びている。畳付の胎土は、磁器を焼くと焦げてしまい赤黒くなっている。
新安引揚の海底青磁の中において宋代様式の数少ない青磁のひとつで、胎土の目が細かく非常に良い発色である。
宋代には口がいくつか付いた多嘴壷、又は多口甁が数多く制作されたが、中でもこの陶磁器は希に見る形態である。類似した形が中国四川省遂寧県の穴蔵で出土している。
中国語で口を意味する嘴は、子と発音が似ており多嘴、即ち多口は多子を象徴すると言われ、多口瓶、多嘴瓶は主に副葬品として使われたと思われる。これを燈盞(灯かりを点す油をいれる瓶)だとする見解もある。