金銅仏龕
  • 年代

    高麗

  • 材料

    金屬 - 金銅製

  • 寸法

    高28

  • 番号

    徳寿 2115

 高麗時代の仏龕(仏像を安置する厨子)で、泉隠寺にもこのような仏龕が伝わっている。前面にだけ扉をつけて開閉できるようにし、残り3面は銅板でふさいでいる。扉の外側には七宝文と宝相花文を刻み、内側には仁王像を陽刻する。仏龕内部の正面には三尊と十代弟子像を、左に獅子に乗った文殊菩薩を、右には象に乗った普賢菩薩を余白なく配置している。このことから、正面は霊山会上の場面を図で解釈したものと推測される。
 中央の三尊像には頭から発する光(頭光)と体から発する光(身光)を表現し、他の像には頭光だけが表現されているが、これらの像の間の空間は雲文で埋められている。天井には龍と雲文をぎっしりと配置し、天蓋(法堂内の須弥壇の上にかざす笠状の装飾、あるいは仏像の頭上にかざす笠状の装飾)を表現したようである。三尊と羅漢像の間の空間は雲文で埋める。仏龕外壁は鍍金せず、左右側面には四天王像を、後面は上下段にわけ、上段には金剛力士像2躯と眷属像6躯を、下段には唐草文を線刻する。
 仏龕の下には方形の板に金属板をつけた台があり、台上部の縁には伏蓮があり、仏龕底面の仰蓮と向き合っている。棟と軒先を除く屋根全体を緑色に彩色し、瓦葺きや軒の表現を通じ実際の建物の姿を再現した。大棟の中央には用途未詳の環形の装飾が残っている。