太古の昔から天と地、祖先と現在の人々をつないでくれるものがありました。それは祭祀です。そして、祭祀から、供え物をのせるための祭器が生まれました。祭器は、神への感謝の気持ちを込めて贈り物を供え、福を授かることで、時空を越えて共同体を結束させる器です。
祭器は儒教を社会規範としていた朝鮮において大きな意味がありました。儒教は祖先をまつる祭祀を重視しているので、祭器はそんな朝鮮社会の「禮」の文化が表れている重要な資料となっているのです。また、朝鮮の陶磁祭器は、陶磁器ならではの美を表現した芸術品でもあります。
国立中央博物館は、このたび初めて陶磁器の祭器を一堂に集めました。この展示が、土でつくった朝鮮の祭器に関心を持つきっかけとなることを願っております。