香炉は、高麗時代の王室と寺院において主に使用された。高麗時代の王室では、香炉が儀礼や日常生活に広く使われた。王室の香炉のうち、青磁鼎形香炉は北宋「宣和博古図」の影響を受けて製作が始まった。しかし、青磁鼎形香炉は中国の模倣の段階を超え、高麗の人々の美意識に合ったものに発展していった。日常生活で用いられたと考えられる青磁動物装飾香炉は、獅子など様々な動物の装飾が施されている点が特徴である。
高麗時代における仏教用の香炉は、一ヶ所に据えて使用する「居香炉」、長い柄の付いた「柄香炉」、歩きながら香を焚くための「懸香炉」などがある。高麗時代には統一新羅の伝統と外国の影響により様々な香炉が作られ、その伝統は朝鮮時代に受け継がれていった。