国立中央博物館(館長・金英那<キム・ヨンナ>)は、2012年の最後の特別展<瑠璃、三千年の物語-地中海・西アジアの古代ガラス>を11月27日から
本展では、古代ガラス発祥の地であるメソポタミア、エジプト、ローマ帝国など、地中海沿岸と西アジア地域のガラス製作の歴史、そして今日のガラス製品に繋がる技術的創案、それが持つ時代の意味にスポットを当てています。国立中央博物館は2005年に龍山(ヨンサン)へ移転・リニューアルオープンした以来、定期的に世界各地の文化を紹介する展示会を開催してきました。本展では、ガラスをテーマに、人類の智恵とその拡散過程を文化史の観点から鳥瞰したいと思います。
本展に出品される375点の作品は、すべて平山郁夫シルクロード美術館の収蔵品であります。山梨県北杜市に所在する平山郁夫シルクロード美術館はシルクロード地域の彫刻と工芸作品約9,000点を収蔵していますが、なかでもガンダーラの仏教彫刻と古代ガラス工芸品は逸品であります。今回公開される作品は、平山郁夫シルクロード美術館のガラス工芸コレクションの白眉といえるメソポタミアと東地中海の初期のガラス製品を中心にローマ帝国期の作品を加えており、時期的には紀元前15世紀から紀元後15世紀までのものとなります。
本展では、ガラス製作に使われた様々な技法を中心に、多様なガラス工芸品を紹介します。紀元前1世紀頃、ガラス製作史におけるターニングポイントとなった吹きガラスが開発されましたが、これを基準点にしてそれ以前のガラスを第1部で、それ以降を第2部で取り上げています。第3部では、以前の伝統がササン王朝、イスラム時代に継承・発展され、さらに新しい技法が登場する様相に注目すべきです。
今日、ガラスはあまりにも私たちの生活に密着しているため、その用途や歴史について意識しないことが多いです。本展で分かるように、ガラスという素材は私たちが普段思うより、はるかに昔から人類が製作したものであり、その性格と用途も色々と変化してきました。今まで韓国では地中海・西アジア地域の古代ガラスを集中的に紹介する展覧会はなかったので、今回の展示はガラスの誕生と拡散の過程を吟味する絶好のチャンスになると期待されます。
特別展<瑠璃、三千年の物語-地中海・西アジアの古代ガラス>のご案内
■ 会期 :
■ 会場 : 国立中央博物館特別展示室(常設展示館1階)
■ 出品作 : モザイク装飾ガラス等375点
■ 観覧時間
曜日 |
時間 |
月曜、1月1日、2月12日 |
休館 |
火・木・金 |
09:00 - |
水・土 |
09:00 - |
日・休日 |
09:00 - |
※ 旧正月2月11日(月)は開館し、翌日の2月12日(火)は休館となります。
曜日 |
時間 |
火~金 |
11:00, |
土 |
11:00, |
日 |
11:00, |
■ キュレーターとの対話
月 |
日 |
時間 |
場所 |
11 |
28 |
19:30 |
特別展示室 |
12 |
5 |
18:30 |
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12 |
18:30 |
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19 |
18:30
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26 |
18:30 |
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1 |
2 |
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9 |
19:30 |
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16 |
- |
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23 |
18:30 |
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30 |
19:30 |
■ 教育プログラム
区分 |
内容 |
時間 |
対象 |
講義 |
国立中央博物館で感じる<瑠璃、三千年の物語> お問い合わせ: 02-2077-9295 |
毎週水曜 |
一般人 |
体験 |
国立中央博物館で体験する <瑠璃、三千年の物語> お問い合わせ: 02-2077-9307 |
(土)
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家族 |
毎週水曜 |
大人 |
■ 観覧料 : 無料
■ 写真撮影 : 可(ただし、フラッシュ、三脚使用は不可)
■ 展示カタログ : 全出品作375点収録(総272頁)
(ミュージアムショップで販売中、値段は、28,000ウォンとなります。)
まず、ガラス製作の始まり(第1部)では、紀元前1500年から紀元前100年までの初期のガラスを展示します。この時期にはコア成形技法、鋳造技法、モザイク技法によりガラスが製作されました。有色宝石の代用として作られ始めたガラス装身具、香油などを入れるための小ぶりのガラス瓶、モザイク玉や装飾板などが展示されます。当時、このようなガラスを製作するためには大変な時間と費用が掛かったので、上流階級にのみ許された贅沢品であります。
吹きガラスの発明(第2部)では、吹き竿の先に溶かしたガラスをつけて製作するという、製作技術に革命をもたらした発明に焦点を合わせました。紀元前1世紀頃、パレスチナ地域で始まった吹きガラスは急速に地中海沿岸まで伝わりました。吹きガラスによりわずか数分で器を作ることができるので、大量生産の道が開けたのであります。価格が下落し、ガラスは上流社会の占有物ではなく、庶民の生活用品として常用化することになりました。新しい技法に合わせた様々な形の瓶と装飾技法の様相がタイプ別に展示されています。
装飾ガラスの満開(第3部)では、西ローマ帝国が衰亡した後の5世紀から15世紀まで、ササン王朝ペルシアとイスラム帝国が展開する時期に、以前の技術を成熟させて作られた様々なガラス製品が展示されます。カット装飾の器、無色透明なガラスのカップ、12世紀から登場したエナメル彩色のガラス容器がその代表として挙げられます。華やかなイスラム装飾のガラスは、同時代のヨーロッパでも大流行し、とくにベネチアガラス工芸に多大な影響を与え、近現代の実用的なガラスの礎を築きました。
香油甁
東地中海沿岸
紀元前 3世紀 - 紀元後 1世紀
高 12.5cm
花文モザイク板
東地中海沿岸
紀元前 3世紀 - 紀元後 1世紀
高 4.4cm, 幅 6.9cm
人面裝飾モザイクビーズ
東地中海沿岸
紀元前 1世紀 - 紀元後 1世紀
幅 1.6cm/ 1.4cm
ゴールドバンド裝飾甁
イタリア
紀元前後
高 7.3 cm
圓形カット裝飾碗
イラン
5 - 7世紀
高 9.7cm, 徑 12.5cm