ㅇ展示遺物:新羅遺物から発見された約2,300点の動物や子供の骨、生活道具、小さな釜(昌寧・末屹里出土)に納められた約500点の金属工芸品 国立中央博物館では、 古代に対し新しい探検を試みる展覧会を開く。混沌としていた新羅(BC57〜AD935)の末期、新羅人は未来への希望と願いを込めて、あちこちにさまざまな品を埋めていた。あれから千二百年が過ぎ去った今日、その実態が明らかになりつつある。 2部構成の本展の中で、第1部では新羅のある井戸から発見された犬、猫など、数多くの動物や子どもの骨、土器、瓦、つるべなどを紹介する。新羅人は清水が枯れることの無いようにと願いを込め、また雨乞いや病気の快癒をなども祈願する意味を込めて井戸の前で祭祀を行った。 これらの井戸の中でも、新羅の月城(新羅の宮殿跡と推定される場所。現在、国立慶州博物館敷地の北側)周辺で発見された井戸での祭祀は規模が大きく、性格が独特であったため、国が主催したと考えられている。とくに本展では、国立慶州博物館敷地内の2つの井戸跡から発見された約30種2,300点の動物の骨、530点の土器、金属製品、木製品が一覧できる。また、発見された骨の主である子供の死因が事故によるものなのか、祭祀の生贄であったのか、様々な推測により見る人の想像力を刺激する。 第2部では、新羅の寺跡と推定される昌寧・末屹里遺跡出土の小さな釜に込められた新羅人の願いを、香り、音、光という3つのテーマに分けて紹介する。発掘当時、普通の金属片が小さな釜の上に乱れた状態で被せられていたが、釜の中では金銅風鐸をはじめ、香炉、仏陀が刻まれた華やかな金銅装飾板などが発見された。人々の目を盗み、宝物を隠しているのを見ると、祭祀や儀礼の目的で埋められたものとは考えにくい。宝物を隠してその場を離れなければならなかった何か切実な理由があったのではないだろうか。そしてここには、いつか仏陀の世界がこの世に実現することを願う気持ちが込められたと考えられる。 本展を通じ、古代新羅人の願いとその時代を肌で感じるきっかけになれば、と期待する。
犬骨
国立慶州博物館敷地内の井戸から出土
統一新羅、身長108cm、高さ53㎝、国立慶州博物館所蔵釜の中から発見された柄香炉
昌寧・末屹里遺跡出土、統一新羅、長さ40.2cm、国立金海博物館所蔵
国立慶州博物館敷地内にある井戸跡1
深さ10m、口元の直径70㎝
国立慶州博物館敷地内にある井戸跡2
残存深さ3m、口元の直径90㎝
昌寧末屹里遺跡から出土した金銅風鐸と金銅装飾板
金銅風鐸の長さ23.4cm
*国立公州博物館での巡回展示: