小磯良平の〈日本髪の娘〉をはじめ、
李王家美術館の日本近代西洋画の名品、公開!
“日本近代西洋画”展
■ 場所:韓国国立中央博物館 日本室 ■ 座談会 <小磯良平の芸術世界> |
韓国国立中央博物館は、李王家美術館が1933年から1945年まで収集した日本近代西洋画を、日本ギャラリーで2008年11月18日から2009年10月11日(毎週の月曜日は、休館日)まで公開する。
最も代表作品は、小磯良平の〈日本髪の娘〉で、日本では行方不明となった作品である。小磯良平の〈日本髪の娘〉は、展示期間中、展示替えをせず公開する。
現在、韓国国立中央博物館は、李王家美術館が収集した日本近代西洋画40点を収蔵している。内訳は、油絵33点、鉛筆のドローイング2点、版画4点、パステル画1点である。
李王家美術館の日本近代西洋画コレクションは、20世紀初めの東京美術学校を中心とした日本アカデミズム画風のタイムカプセルである。収蔵品を製作した画家は、東京美術学校の西洋画科を卒業して、文部省美術展や帝国美術展といういわゆる官展に入賞し、ヨーロッパに留学した西洋画家が多い。その中には、朝鮮美術展の審査委員も勤めた画家もいる。なお、少数ではあるが、東京美術学校とは無縁の画家や二科展を中心として活躍した画家も含まれている。
李王家美術館の西洋画は、東京美術学校長を経て帝国美術院長となった正木直彦(1862-1940)と西洋画家で東京美術学校長の和田栄作(1874-1959)の推薦に基づいて、李王家の英親王(1897-1970)が選定した。李王家美術館蔵の西洋画は、人物画、裸体画、風景画に分けられる。
人物画は、女性をモチーフとしたものが主である。日本絵画における女性は、絵巻、似絵、浮世絵では決まった図像で形式化されていたが、近代西洋画家は、女性のモデルを線密に観察して写実性を追及した。日本の近代西洋画では、ヨーロッパの肖像画の影響を受け、アジアの伝統的な肖像画ではあまり扱われなかった女性を主なテーマとした。特に椅子に座り、静かに瞑想するかのようなポーズをとる女性像は、アジアの西洋画における模範的な構図になり、類似する作品が朝鮮美術展にも出品された。
風景画では、黒田清輝に指導を受けた外光派の風景画が多い。外光派は、キャンパスと油絵具を用いて、多彩な色彩を使いながら光を表現した。風景画のテーマは、日本の山と海、四季の景色、それから画家がヨーロッパやアジアを旅行しながら見た実際の風景であった。ヨーロッパ風景画のように、光と天気が絶え間なく変わることを表したことは、伝統的な山水画には見られなかったものであった。
日本は、西洋文化の刺激を受け文化の基礎を広げ、また一方では西洋文化にも影響を与えつつ、20世紀の日本文化を作り上げた。今回の日本近代洋画の展示が、韓国でいかに西洋文化を受容し、変容させたかということを考える上で、1つの出発点となる比較材料となることを希望する。
日本髮の娘 小磯良平(1903-1988) |
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