朱雀は、鳳凰を起源とする神聖な鳥。朱雀は、天に28ある星宿のうち、南の7つを象徴する南の守護神で、東の青竜、西の白虎、北の玄武と共に四神のひとつとされる。四神は、陰陽五行説に基づいてその概念が確立していき、後には墓の内部に描かれる世界の守護神としても登場するようになった。
高句麗の古墳壁画における朱雀は、ほとんど例外なく雌雄が対をなして描かれている。また初期には、天界を象徴する墓室の天上に、様々な神獣と共に描かれたが、やがて墓の前室に単独で描かれるなど壁画内において占める比重が高まり、各部の表現にも調和がみられ、洗練さが増していく。6世紀以降の朱雀像には、細やかで力強い描写、華やかな色彩などがみられ、高句麗絵画の水準の高さがうかがえる。