過去 特別
美術の中の都市、都市の中の美術
  • 展示場所

    企画展示室

  • 展示期間

    10월-05-2016 ~ 11월-23-2016

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    - 東アジアの人文学の重要争点の一つである都市
- 美術活動の重要な背景である都市をテーマに、美術に対する多様な視覚提示
- 都市の発展に伴う美術の変化をテーマにした国内最初の企画展
- 国内外の関連名作を鑑賞できる機会を提供して学術研究に貢献
* 休館: 10.24(月)


1.城門を開ける
朝鮮は二度におよぶ戦争を経て、激変期を迎えます。都城・漢陽は、貨幣経済の発達と人口の急増により本格的な都市化が進められました。同じ時期、中国と日本でも都市の成長と都市文化の隆盛が著しく見られました。朝鮮は、中国と日本にそれぞれ燕行使と通信使を派遣することで、都市文化を共有し新しい文物に対する刺激を受けました。三国が形象化した理想都市の姿からは、そのような普遍性と独自性を垣間見ることができます。時代の変化のなかで形成される都市には、未来への理想が盛り込まれています。正祖の統治理想を盛り込んだ華城の建造と、理想都市の姿を描いた太平城市図を通じて、朝鮮が抱いた都市の夢をご覧になることができます。

2. 都市に魅了される人々
漢陽は人口が急増し、生業・生活様式・趣向などにおいて田舎とはまったく異なる本格的な都市化を迎えました。新しい都市空間で暮らす人々は都市文化を形成していきます。農民から商工人となった人々の姿は、朝鮮後期における風俗画のテーマとなりました。都市に集中した知識・情報や華やかな文物に目覚めた知識人は、庭園と書斎を構え風雅な文芸活動を続けていきました。書画への愛好と文房具や骨董の趣味の広がりは彼らから始まったものです。一方、士大夫に劣らぬ教養と眼識を備えていた中人階級の知識人は、詩社という集まりなどを結束することで身分の制約を超え十九世紀の文芸の立役者となりました。彼らが主軸となったいわゆる閭巷文人は、斬新な感覚と省察を兼ね備えることで、美術の創作者であり鑑賞者、後援者となりました。時代の流れに対応しつつ影響力を拡大していった彼らは、開化期を経て近代知識人の母体となりました。

3. 美術、都市の感性を広げる

   さまざまな贅沢品、眼識を必要とする骨董や書画・文房具などの玩賞品、香・茶・盆栽などの趣味で使う小物などの文物は、独特で華やかな都市の趣向を築き上げました。陳列と装飾を通じて自身の趣向を誇示する風潮も生まれました。冊架図は、欲望・所有・誇示を追う都市人の属性を代弁しています。朝鮮後期における貨幣経済の発達と交易の増加のなかで市場が形成され、経済力さえあれば誰でも容易に文物を手に入れられる環境が整いました。収集家が増え、質の良いものを見極める鑑賞学が生まれました。環境の変化により、美術が志向する内容と形式も大きく変化していきます。美術家は、創作意欲を持った主体としての自意識をこれまで最も強く表現しました。過去の理念と秩序に支配されることのない感覚的かつ混成的な要素を持ち合わせつつも、主観的で過激な美的感性が生まれました。

4. 都市、近代と出会う

    美術家が近代の訪れを認識するよりも先に、開港とともに欧米の文物が都市へと流れ込んできました。美術家は、慣れない環境でまた再び変化の方向を模索することになりました。書画教室や美術団体を中心に近代の画壇の面相が整えられていきました。海外留学を機に『西洋画』に進路を見出した画家も生まれました。新しい美術環境のなかで美術家は、写真や新聞、雑誌という印刷媒体に適応したり、商品となる工芸品を工房ではなく製作所で生産するなど、変化の流れに沿って変身を図っていきます。この時代の美術家は、近代の文物洗礼のなかで植民地という現実と自身のアイデンティティーに悩みます。都市知識人という画家としての自画像、そして慣れ親しんだ過去と慣れない現在が混在した都市景観は、近代の美術家が抱えていた苦悩を如実に表しています。