2011年、国立中央博物館の新しい収蔵品
  • Date2012-03-14
  • Hit 4228

2011年の一年間、発掘、購入、寄贈など、様々な方法によって国立中央博物館に新しく所蔵されたものは、211619点である。

 

購入は、まず、現在のインドとパキスタン地域を統治していたムガル帝(Mughal1526-1857)時代の細密画である。落ち着いた静的な空間に、繊細な筆致で王族、官吏、理想の女性などがリアルに描かれており、この時期の宮廷絵画の美しさが窺える。

 

皇帝の肖像、Portrait of the Emperor Farrukh Siyyar

ムガル帝18世紀

 

女性の肖像、Portrait of a Mughal Princess

ムガル帝17世紀

 

 

なお、音階を絵画に表現し、音楽、詩、絵画の三つの芸術を結合させた作品「ラガマ(Ragamala)」シリーズも充実し、仏教美術とヒンズー教美術など、インド文化の多様性を肌で感じることができる。

 

ガマシリーズ

 

韓国の遺物としては、朝鮮時代の世祖が『楞厳経』に韓国語の記号(口訣)を付け、翻訳させた『楞厳経諺解』など、朝鮮時代の政治、社会、生活文化が窺える典籍や古文書、正祖の時に宮廷画家として活躍した焦田・珣の「山水図」、慶長の役の最後の年である1598年の順天倭城戦闘、露梁海戦などの記録画「征倭紀功図屏」(倭軍を征伐した功績を記念して描かれたもの)などを購入した。

 

厳経諺解

15世紀

 

山水図

蕉田珣、朝鮮中期

 

 

征倭紀功図屏

19世紀

 

明代の従軍画家によって描かれたものであるが、文禄・慶長の役を描いた絵は非常に珍しく、韓中日の三国の視点から文禄・慶長の役を研究する上で重要な資料となっている。

 

 

また、清代(1616-1912)の初期の文人であり、康熙帝の書道の師匠でもあった沈荃(16241684)が唐時代の最高の書道家、顔真卿(709~785)の「告身帖」を臨書(手本を見ながら字を書くこと)した書を購入した。

 

顔真卿「告身帖」を臨書した書

沈荃、18世紀

 

厳しい審議の手続きにより購入されたこれらの作品からは博物館収蔵政策の指向がはっきり窺えるので、今後、博物館および所属の地方博物館、国外の韓国室などにおける展覧会にも活用される予定である。

File
  • File