春の景色と由緒ある歴史で知られる公州麻谷寺には、大きな掛仏が伝わっています。縦11m、横7mにのぼる、宝物第1260号の公州麻谷寺掛仏です。1687年5月、麻谷寺の僧侶と信者たちの切なる思いにより、巨大な掛仏が完成しました。眩い陽光が降り注ぐある日、大勢の人々が集まるなか、五色の花と玉で飾られた光背を背負う釈迦牟尼仏が姿をあらわしました。そして、その釈迦牟尼は、手に一輪の蓮の花を携えていました。
国立中央博物館が開催する14回目の掛仏展では、言葉ではなく心で教えを伝えようとした釈迦牟尼仏が紹介されます。多くの人々の感嘆を誘った麻谷寺掛仏をゆっくりと鑑賞し、釈迦牟尼が蓮の花を通して伝えようとした教えに静かに耳を傾けてみてください。