粉青沙器掻き落し蓮華文扁甁
  • 年代

    朝鮮

  • 材料

    陶磁器 - 粉青

  • 番号

    東垣 348

『東垣李洪根蒐集名品選』陶磁編 図42

胴体の前後面をたたいて扁平に作った扁瓶で、高さに比べて胴体の径が大きい楕円形なので、丸みがあってかさが豊富に感じられる 。口緑部から高台の周囲まで白土を塗った後、一方の面には大きな蓮花一輪を大胆に施し、反対側には文様を除いた地の白土を掻き出す掻き落し技法と、描きたい文様を陰刻線で表現する彫花技法を利用して、三輪の蓮花文を施した。
その中で三輪の蓮花文は、装飾をした当時白土が剥がれてしまったが、それを気にしないで釉薬を塗って完成させた。このことから、当時の沙器匠とこれを使用するソンビ(学識と立派な人格を備えた知識人)の粉青沙器に対する意識が窺える。文様は両側面を二つの文様帯に分けた後、各々“S”字をしっぽのようにつなげた文様が彫られている。
釉薬はよく溶けて光沢があり、均等に細かくひび割れた貫入もある。畳付には砂まじりの耐火土を敷いて焼いた跡が残っている。