青磁陰刻牧丹文大花瓶
  • 年代

  • 出土地点

    新安郡

  • 材料

    陶磁器 - 青磁

  • 寸法

    高45.2、口径19.9、底径11.6

  • 番号

    新安 1014

中国青銅器の酒器である樽の形態をとっている。口縁は喇叭のような形であり、横線が緻密に巻かれた長い頸に、胴は少々膨らみ、下端は段々すぼんだ形となっていく。
胴と高台の境界線には、太い線で廻り削り取られている。高台は、内側と外側の下端を削り取り、畳付は別のものを付け加えた痕跡が見られる。胴の上端には、 陰刻の牡丹文が、下端には陽刻の蓮弁文がそれぞれ細かく表われている。
釉薬は光沢のある薄緑色で、畳付を除いた胴の全面に施されている。畳付には、耐火性の強い土目をつけて焼成した痕跡が少し残っている。
この形態は、有名なパーシバル・デイビット・ファンデーション(Percival David Foundation)所蔵の“泰定4年”銘の青磁陽刻牡丹文大花瓶の形や文様に非常に似ており、年代を決めるにあたって重要な手がかりとなる。また、1970年に中国の内モンゴル呼和浩特市郊外の穴蔵で出土した文化財の中にも、類似した器形の大花瓶がある。
この花瓶と共に出土した文化財の中には、 釣窯で生産された “己酉年(1309年)”銘の香炉があり、やはりこの香炉の制作年代をも把握できる重要な資料である。さらに類似した形の大花瓶が、日本の寺院の仏前や法堂を装飾する荘厳具として使われ、相当の数が伝わっている。