花、降り注ぐ─永川銀海寺掛仏
国立中央博物館は2020年のお釈迦様の誕生日を記念し、「花、降り注ぐ─永川銀海寺掛仏」を開催します。本展では、銀色の霧に包まれて海のような風景を生み出す美しい寺院、永川銀海寺の掛仏を紹介します。
1750年4月、八公山の東の麓に位置する銀海寺で、屋外儀式の際に掛ける大型仏画の掛仏が完成しました。11メートルの仏画が広げられた瞬間、身動きがとれないほど集まった人々は、雨のように降り注ぐ花の中にひとりで立つ仏と向かい合いました。このとき人々が見た仏は誰だったでしょうか。掛仏に描かれた如来は、霊鷲山で教えを伝えた釈迦牟尼仏とみられます。しかし、華やかな羽で飾られた鳥や、画面いっぱいの花は、阿弥陀仏の極楽浄土を連想させます。掛仏に描かれた花は、釈迦牟尼仏の教えを賛嘆する供え物のようでもあり、阿弥陀仏の極楽の天から降るとされる花のようでもあります。
2020年4月、掛仏込められた物語がみなさんに届きます。極楽浄土を治める阿弥陀仏と、極楽のきらびやかな姿を描いた≪念仏往生捷径図≫も8月23日まで展示されます。国立中央博物館にやってきた15幅目の掛仏を眺めながら、大きな画幅に降り注ぐ花を堪能し、阿弥陀仏の信仰に思いを馳せていただければ幸いです。
○ 会 期: 2020. 4. 1.(水) ~ 2020. 10. 11.(日)
○ 会 場: 書画館 仏教絵画室
ㅇ展示品:銀海寺掛仏(宝物第1270号)、念仏往生捷径図(宝物第1857号、8月23日まで展示)など