孫昌根(1929~)氏が、父の故孫世基(1903~1983)氏とともに蒐集した202件304点の文化財を寄贈しました。孫世基氏は開城出身の実業家で、韓国の美術品を愛し、情熱的に書画を蒐集しました。その中には金正喜(1786~1856)の書や簡札などが多数あり、注目されています。また、朝鮮を代表する書画家である鄭敾(1676~1759)をはじめ、沈師正(1707~1769)、張承業(1843~1897)などの作品が含まれているほか、山水画、人物画、翎毛画などの多様な絵画、書、典籍、篆刻類があり、孫世基氏の眼識と、文化財蒐集への情熱が伺われます。そして孫昌根氏は2018年11月、多くの人々に蒐集品を鑑賞してほしいという思いで、これらを無償で寄贈しました。これにより、博物館の所蔵品はより豊かになり、多様な書画を対象に幅広い研究を進められるようになりました。孫世基・孫昌根記念室で美しい韓国の文化財を鑑賞し、大事な蒐集品を快く社会に還元した孫昌根氏の志に思いを馳せていただければと思います。