• 展示品:アレクサンドロス大王の頭像、コーラン箱など152件187点
• 主催/主管:国立中央博物館、KBS、釜山博物館
• 後援:文化体育観光部、NAVER(広報後援)
• 協賛:POSCO、大韓航空、国民銀行
国立中央博物館(館長・金英那(キム・ヨンナ))は、2012年、韓国トルコ修交55周年を記念し、「トルコ文明展:イスタンブールの皇帝たち」の企画展示をKBS、釜山博物館と共催する。本展は、東西の文明が交錯し、様々な宗教と文化が花開いたトルコの文化遺産が一覧できる韓国ではじめての大規模展示であり、トルコ文明の真髄に触れる展覧会である。
今回の展示は計4部によって構成されており、紀元前3000年頃アナトリア時代から19世紀オスマン帝国の時期まで、トルコの歴史全般に渡る遺物が展示されている。そのため、トルコ・アンカラ所在のアナトリア文明博物館、イスタンブール考古学博物館、トルコイスラム美術博物館、トプカプ宮殿博物館の、4つのトルコ国立博物館に所蔵されている文化財152件187点が厳選された。
第1部「古代文明とヒッタイト帝国」では、紀元前3,000年前、トルコ・アナトリア古代文明からの神話と伝説について取り上げる。触れる物がすべて黄金に変わったという神話で有名なミダス王は、フリギアの王だったが、そのフリギア時代に作られた青銅製の水瓶、トロイの木馬で広く知られているトロイ時代の金の耳飾、鉄製の強力な武器を持っていたヒッタイト帝国のハットゥシリ1世の文書などを通じて、トルコ古代文明の発展史が窺える。
第2部「アレクサンドロスとヘレニズム世界」はアレクサンドロス大王の東方への遠征を契機として、トルコ全域へと広がったヘレニズム様式のギリシャ・ローマ文明の発展史を、夢見るエロス、アレクサンドロス大王など、美しい彫像を通じて窺うことができる。
第3部「コンスタンティヌスと東ローマ帝国」は、コンスタンティヌス大帝がコンスタンティノープルを建設し、初期キリスト教文化が発展していた東ローマ帝国を取り上げている。東ローマ帝国ビザンチン様式のメダル、聖物、コンスタンティヌス大帝の頭像などが展示される。
第4部「オスマンの皇帝、スルタン」では、世界を制覇したオスマントルコ(1299-1922)の強力な力、そして絶対権力者だったスルタンの地位、自由な統治理念に基づいて強大になっていったオスマン帝国の華やかで美しい文化財が展示される。とくに、コンスタンティノープルを占領し、イスタンブールを建設して発展を始めた1453年から19世紀までのオスマン帝国の遺物を一覧することができる。
「トルコ文明展:イスタンブールの皇帝たち」は、目覚しい発展を遂げていたトルコの歴史を、その文化財を通じて直接見ることにより、当時のトルコ人とイスタンブールの皇帝が享受していた煌びやかな生活の一部を体験するきっかけになると期待している。
儀礼用旗竿の鹿形装飾 Stag Statuette
アラジャ・ヒュユク出土、紀元前 3000年頃、青銅器
アナトリア文明博物館 AAMM
ハットゥシリ1世の文書 Endowment Document by HattushiliⅠ
ヒッタイト、紀元前 1586〜1556年頃、テラコッタ
アナトリア文明博物館 AAMM
ヒッタイト古王国時代の寄付証書であり、前面の中央には印章が印されている。普通、寄付証書の授与者は王であるが、これは王の代理人であるトゥトゥラである。
青銅製水瓶 Jug with Trefoil Mouth
フリギア、紀元前 800年頃、青銅
アナトリア文明博物館 AAMM
アレクサンドロス大王 Alexander the Great
コス島出土、ヘレニズム、紀元前 3世紀頃、大理石
イスタンブール考古学博物館 İAM
ギリシャのコス(Kos)島から出土したアレクサンドロス大王の頭像である。実物大よりは大きく制作されている。ライオンのたてがみのように靡く髪と、明暗を強調する彫像技法は、ヘレニズム時代の代表的な特徴である。消失した額の上は、別な石が使われ、王冠や兜を付けていたと推定される。
コンスタンティヌス1世 Constantinus I
東ローマ、4世紀頃、大理石
イスタンブール考古学博物館 İAM
ローマ皇帝コンスタンティヌス1世(在位306〜337年)の頭像である。前の時代は巨大で厳粛な表情の彫像が多かったが、これは繊細に制作されており、中年の皇帝が描写されていると推定される。後頭部と耳の部分には、金属の王冠を被っていた痕跡が残っている。
コーラン Koran
オスマン、1470年頃、紙に顔料、インク、金
トルコイスラム美術博物館 TİEM
メフメト2世(1432-1481)の時、イスタンブールで制作された。表紙には所蔵者だったスルタン、バヤズィト2世(在位1481〜1512)の印章が印されている。
スルタン・スレイマン1世の刀 Sabre of Sultan Sİleyman Ⅰ
オスマン、1551-1552年頃、鉄、金、ダイヤモンド、木、革
40余年の間、オスマン帝国の全盛期を導いたスルタン、スレイマン1世(在位1520-1566)の刀である。柄には陰刻の金板の上に11個のダイヤモンドの装飾が施されており、刃にはアラブ語の銘文が金の象嵌で記されている。刃の一面にはコーランの一文が、もう一面にはアラーがスルタン・スレイマンに勝利を与えるという意味の銘文が刻まれている。
ターバンの装飾 Turban Ornament
オスマン、17世紀頃、金、ダイヤモンド、真珠、ルビー、エメラルド
水玉模様のダイヤモンド、エメラルド、真珠、ルビーでできたターバンの装飾である。ターバンに指す下の部分は緑、赤、白のエナメルの塗られた植物紋様の装飾が施されている。
コーラン箱 Koran Chest
オスマン、16〜17世紀頃、木、貝殻、鼈甲
トルコイスラム美術博物館 TİEM
オスマン時代には、モスク、王やパシャの霊廟にはコーランが祀られたが、そのコーランを保管するために製作された箱である。スルタン・メフメト3世の霊廟に入れられていたものである。丸い蓋は貝殻と鼈甲によって作られており、蓋の下にはコーランの文章が象嵌技法により刻まれている。胴体には貝殻の螺鈿細工が施された4つの引き出しがあり、そこには30冊に分かれたコーランが保管されている。
宝石装飾の珈琲カップスタンド Stand for Coffee Cup
オスマン、19世紀頃、金、ダイヤモンド、銀
トプカプ宮殿博物館 TSM
小さなトルコ珈琲カップが入れておけるスタンドである。本来は、12個一セットになっている。金の上に赤エナメルを塗り、銀の装飾を施してさらに様々な大きさのダイヤモンドがちりばめている。
手洗い用銀の注子と銀の水盤 Silver Ewer & Silver Basin
オスマン、19世紀頃、銀
トプカプ宮殿博物館 TSM
オスマン王室で食前と食後、お祈りの前に手を洗うために用いられた銀製注子と水盤セットである。トプカプ宮殿には、金、銀、陶磁器、クリスタルなどで作られた様々な手洗い用注子と水盤セットが保存されている。
水晶の杓子 Rock Crystal Ladle
オスマン、17〜18世紀頃、クリスタル、金、ルビー、エメラルド
先の部分が葉の形になっている。柄の部分は金のバラの上に、ルビーとエメラルドで装飾が施されている。